【2月10日 AFP】メキシコ海兵隊は8日、同国で最も凶悪な犯罪集団の一つとされる麻薬密輸組織セタス(Zetas)の首領、ホセ・マリア・ギサル・バレンシア(Jose Maria Guizar Valencia)容疑者をメキシコ市内で拘束した。当局が9日、明らかにした。同容疑者は米政府から500万ドル(約5億4000万円)の賞金を懸けられていた。

Z43」の通称で呼ばれるギサル容疑者は、米国とメキシコの二重国籍で、麻薬や武器の密輸、組織犯罪、殺人、誘拐などの容疑で、両国から複数の逮捕状が出ていた。米国務省によれば、年齢は38歳とされる。

 メキシコ国家安全保障委員会のレナト・サレス(Renato Sales)委員長は記者会見で、ギサル容疑者は富裕層が多いラロマ(La Roma)地区で「武力を用いずに」逮捕されたと発表。容疑者は「南米から米国に麻薬を密輸していたとみられ、メキシコ南東部各州での暴力の主要な促進者の一人だった」と説明した。

 米国務省は、「セタスは、ギサル・バレンシアの指揮下でグアテマラの対メキシコ国境地帯を組織的に占拠した際、無数のグアテマラ市民を殺害した」としている。このほかセタスには▽敵対勢力を「シチュー」のたるの中で溶かした▽2010年8月に移民72人を虐殺した▽2011年にメキシコ北部モンテレイ(Monterrey)のカジノに放火し52人の死者を出した─などの容疑がある。(c)AFP