【2月13日 AFP】イラクで毎週金曜日、死刑判決を受けたイスラム過激派組織「イスラム国(IS)」の元戦闘員らのインタビュー番組がゴールデンタイムに全国放送され、注目を集めている。

 政府系テレビ局アルイラキーヤ(Iraqiya)が放送する番組「法の網に捕らえられて(In the grip of the law)」では、ISの犯罪とされる陰惨な映像に続き、オレンジ色や黄色のつなぎを着た死刑囚のインタビューが流れる。死刑判決を受けている元戦闘員らが厳重な警戒の下、自身の犯行現場に護送される場面もある。

 探偵事務所を思わせる番組のセットで、ベージュの背広に茶色のネクタイを締めた司会のアフマド・ハッサン(Ahmad Hassan)氏は毎週、冒頭で衝撃的な写真を紹介する。

 ある回の幕開けは、バグダッド北西部の町ヒート(Heet)でISが2014年に殺害したスンニ派(Sunni)イスラム教徒数十人が血の海に横たわっている写真だった。番組で紹介されたミサグ・ハミド・ヘクメット(Mithaq Hamid Hekmet)元戦闘員(41)は、このときの大量虐殺で有罪判決を受けたうちの一人で、関与した他のメンバーの名前まで挙げて冷酷な殺害の詳細を語った。

 別の回では、ムハンマド・ハミド・オマル(Mohammad Hamid Omar)元IS財務担当幹部が、薬局や学校、不動産業者、ガソリンスタンド、医師らから資金を巻き上げる手腕が明らかにされた。

 ハッサン氏によれば、インタビューに応じたうちのほとんどは死刑囚だ。

 イラク当局はこれまで多数のIS戦闘員を拘束しており、国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)によると、同国内では昨年、100人以上の死刑が執行された。その大半は「テロ」の有罪判決を受けていた。

 ハッサン氏は、番組の狙いは、ISの残虐行為を浮き彫りにすることで、ISのイデオロギーの信奉者を一掃することにあると主張する。