【2月8日 AFP】2011年のシリア内戦開始以来、バッシャール・アサド(Bashar al-Assad)政権を中心に、戦闘の当事者勢力による化学兵器の使用が繰り返し指摘されてきた。来月で8年目に突入するシリア内戦で、これまでにみられた化学兵器による攻撃とその使用が疑われているケースを振り返る。

■アサド政権の威嚇

 2012年7月、化学兵器を保有していることを認めたシリア政府は、自国民に向けては使わないが、外国からの軍事介入があった際には使用することを明言。その翌月、米国のバラク・オバマ(Barack Obama)前大統領は、化学兵器の使用は「越えてはならない一線」だとして、シリア政府の動きをけん制した。

■サリン攻撃

 2013年8月、政府軍がシリアの首都ダマスカス(Damascus)近郊への攻撃を開始するなか、何者かによって化学兵器が使用された。この攻撃で数百人が死亡した。反体制側はアサド政権が使用したと非難しているが、政権側は関与を否定している。

 同月下旬、米情報機関は化学兵器を使用したのはシリア政府であるとほぼ断定できるとする報告書を発表。これによると計1429人が死亡し、うち426人が子どもだった。さらに国連(UN)も、サリンガスが使用された明確な証拠があると報告している。

 翌月、米国とアサド政権を支援するロシアは、2014年までにシリアが保有する化学兵器を廃棄させる方向で合意し、米国による懲罰的攻撃は回避された。

■塩素ガス、マスタードガス

 2016年8月、国連と化学兵器禁止機関(OPCW)による合同調査委員会は、2014年と15年にシリア政府軍が支配する空軍基地から飛び立ったヘリコプターからの塩素ガスの入ったたる爆弾の投下が、北西部イドリブ(Idlib)県の複数の村に対して行われたことを把握した。

 同合同委員会はまた、2015年8月にシリア反体制派が支配する北部アレッポ(Aleppo)県マレア(Marea)でマスタードガスを使用したとしてイスラム過激派組織「イスラム国(IS)」を非難。さらに同年10月には、その約半年前の3月にシリア政府軍がイドリブ県で塩素ガス攻撃を実施していたことを明らかにしている。

 同合同委員会は、調査を実施した化学兵器使用が疑われる2014~15年の攻撃9件のうち3件はシリア軍によるもので、1件がISによるものだったと報告している。