■毒牙腺

 ワン氏の論文の共同執筆者で、米カンザス大学(University of Kansas)のポール・セルデン(Paul Selden)教授は「出糸突起は、さまざまな目的のための糸を生成するために使われる。目的としては、卵を包む、隠れ穴を作る、睡眠用のハンモックを作る、ただ単に跡を残すためなどがある」と説明した。

 また、C.インギは「触肢」と呼ばれる、はさみのような付属肢を持っている。交尾時に精子を雌に受け渡すのに使われる触肢は、すべての現生種のクモにみられる固有の特徴の一つだ。

 むちのような形状の尾は、鞭節(べんせつ)または尾節として知られ、「感覚器官として機能していた」可能性が高いと、ワン氏はAFPの取材に語った。

 それとは対照的に、現代のクモは周囲の変化を監視するのに巣に糸を張る。また、現代のクモは専用の腺から分泌される毒を持っているが、C.インギについては、獲物を毒で弱らせることができたかどうかをどちらの研究でも確認できなかった。

 どちらのチームも、標本に直接触れずに詳細な分析を行うために研究ではX線CTスキャンを使用した。

 今回の新種は、ミャンマーのジャングル地帯で発見された。この地帯では毎年10トン近くの琥珀が産出される。

 だが、琥珀の中に残る動物の死骸の痕跡は、時間の流れをさかのぼると約2億5000万年前で途絶えるため、クモの最初期の起源をたどることが非常に困難になっている。(c)AFP/Marlowe HOOD