【2月4日 AFP】2014年ソチ冬季五輪でドーピング違反とされたロシア選手28人に対する永久追放処分をスポーツ仲裁裁判所(CAS)が解除したことを受け、国際オリンピック委員会(IOC)は3日、新たに選手13人とコーチ2人が平昌冬季五輪に参加する可能性があると明らかにした。国家ぐるみの薬物違反が明らかになり、国としての五輪出場が禁止されているロシアからは、すでに「クリーン」と証明された選手169人が個人資格で出場する予定になっている。

 9日の開会式まで1週間を切った3日、IOCは広報を通じて、招待の是非を決めるIOCの専門家パネルが15人について調査すると発表。平昌で開かれている2日間の理事会の1日目を終えたIOCは、記者会見で「個別に審査して判断する」と話し、開幕前には決めると約束した。IOCは理事会後、今度は総会を2日間の日程で開催する。

 広報担当者によれば、IOCは今回のCASの裁定に控訴する権利があるという。IOCはこの裁定をスポーツ界における薬物との闘いを台無しにしかねないものだと考えており、先日には処分が解除されたからといって五輪へ「無条件に招待されるわけではない」と話していた。

 CASは1日、ソチで大規模な薬物違反に関わったため永久追放になった43人のうち、28人の処分を解除する裁定を下し、IOCを困惑させた。取り消された選手には平昌出場の可能性が生まれたが、詳しい筋によれば、28人のうち13人は引退などの理由で出場できないため、参加可能なのは15人だけだという。

 ロシアの組織的な薬物違反をめぐっては、世界反ドーピング機関(WADA)の要請を受けた法律家のリチャード・マクラーレン(Richard McLaren)氏が、諜報(ちょうほう)部の助けを借りる、ネズミの通る穴を使って尿サンプルを研究所から持ち出すといったロシアの広範でなりふり構わない違反の手口を明らかにした。

 これを受けて、IOCの規律委員会はソチ五輪に参加したロシア選手43人を永久追放にし、ロシアの平昌五輪参加を禁止した。このうち、五輪については169人の選手が潔白を証明して参加が認められ、永久追放については、CASに提訴した42人のうち28人が前週の審理を経て証拠不十分で処分が取り消され、加えて11人も平昌出場は認められなかったが、永久追放は解除された。(c)AFP/Charles WHELAN