【1月31日 AFP】ロシアの国家ぐるみのドーピングについて、告発者のグリゴリー・ロドチェンコフ(Grigory Rodchenkov)氏から指示を出した大本だと指摘された同国のウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領が、ロドチェンコフ氏は信じるに足らない「愚か者」だと主張を一蹴した。

 プーチン大統領はモスクワで開いた陣営の会合で、ロドチェンコフ氏の亡命先である米国を暗に指しながら「彼らはロドチェンコフという愚か者をつかまえたが、あの男を司法の場に連れ出すのは明らかに問題だ。自殺を試みた過去や、これまでの言動を考えれば問題がある。すべてはあの男の証言に基づいているが、そもそも信用できるのか?」と話した。

 その一方で、プーチン大統領は薬物使用が「数例」あったことは認めたが、ロドチェンコフ氏の先日の発言に具体的に言及することはなかった。

 ロドチェンコフ氏はドイツ公共放送ARDの29日の番組で、プーチン大統領本人が前スポーツ相のビタリー・ムトコ(Vitaly Mutko)副首相と連絡を取り合いながら指示を下していたと明かし、「当然のことながら、命令はトップである大統領からきたものだ。なぜなら、そうした特殊任務にロシア連邦保安局(FSB)を配置できるのは大統領だけだからだ」と話していた。

 ロドチェンコフ氏はロシア反ドーピング研究所の元所長で、研究所の幹部2人が突然死した後、米国へ脱出。ロシア国内では今も指名手配されている。

 ロシア政府はプーチン大統領に先立って、ロドチェンコフ氏の発言はいわれのない「中傷」だと話していた。(c)AFP/Maria ANTONOVA