【1月30日 AFP】北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン、Kim Jong-Un)朝鮮労働党委員長の異母兄、金正男(キム・ジョンナム、Kim Jong-Nam)氏が昨年2月、マレーシアで殺害された事件で、殺人罪で起訴された女2人のうち1人が事件の1か月前、北朝鮮の工作員とみられる人物と会っていたことが分かった。30日に行われた事件の公判で明らかになった。

 裁判は7週間の休廷を経て、今月再び始まった。インドネシア国籍のシティ・アイシャ(Siti Aishah)被告の弁護士によると、同被告は昨年1月5日、クアラルンプールのショッピングセンターで「ジェームズ(James)」と呼ばれる男に引き合わされたとしている。男の身元は後に公判の中で、李志宇(リ・ジウ、Ri Ji-U)容疑者と特定された。

 弁護士らはこれまで一貫して、いたずらを仕掛けるテレビ番組に出演していると思い込んでいた被告らが、北朝鮮工作員らが綿密に練り上げた暗殺計画に巻き込まれたと主張している。

 警察捜査員への証人尋問の中で弁護士は、シティ被告は昨年1月5日未明、ナイトクラブでタクシーの運転手に声を掛けられ、運転手からいたずら企画への参加の話があるとして、被告とショッピングモールでの再会を約束したと話した。

 同捜査員も、そのショッピングモールでシティ被告と李容疑者が初めて会ったという見方で一致した。

 弁護士が公判後にAFPに語ったところによると、李容疑者は昨年1月のシティ被告勧誘のみへの関与が知られており、翌2月の正男氏殺害時には「現場から姿を消していた」という。(c)AFP