【1月29日 東方新報】長野県の志賀高原スキー場で滑落した日本人女性客を救出後、自身も山中で迷い一夜を過ごした中国人スキー客の李中大(Li Zhongda)さん(64)が、東方新報の取材に応じた。当時の状況を振り返り、「たくさんの人のおかげで、無事に帰って来られた。深く感謝している」と話した。

 定年後の生活を楽しんでいる李さんは、日頃から運動するのが好きで、夏はヨット、冬はスキーを楽しんでいるのだという。スキー歴25年で技術には自信を持っていたことが、結果として遭難につながってしまった。

 友人の楊さんとスキーを楽しんでいた李さんは、崖の数十メートル下の方から叫び声を聞いた。近くに寄ってみると、60歳前後の女性が滑落して倒れていた。近くにいた女性の夫と思しき70歳ぐらいの男性は、崖の下から聞こえる声にたまらなくなりスキー板を脱いで崖を下りていこうとしたが、一歩踏み出したところで体が半分ほど雪に埋まってしまい、動けなくなってしまっていた。

 崖の下はコース外の林の中で、雪も深く、李さんは降りて行くには技術が必要だと思ったという。だが、雪に埋もれて横たわっている年配の女性を見て、危険だなどと考える間もなく、「とにかく助けなくてはと、瞬間的に体が動いていた」。

 李さんと友人は二人で女性を支え、散乱したスキー板やメガネ、帽子などを拾い集めた。スキー場の救助隊もすぐに駆けつけ、ロープを崖の上から垂らし、皆で協力しながら女性を救出した。