【1月31日 東方新報】中国・山東省(Shandong)済南市(Jinan)にある老朽化したマンションに22日、初めてとなるエレベーターが増築された。中国ではエレベーターのない老朽化したマンションが多く、高齢者にとって階段の上り下りは容易ではない。参考にしたいと、済南市のこのマンションには視察が相次いでいる。

 記者がこのマンションを訪れた時は、増築された2か所目のエレベーターで作業員が施工作業をしている真っ最中だった。マンション3階に住む李さんは、「とても素晴らしいエレベーターです。エレベーターができて本当に良かった」と記者に話す。

 このマンションは6階建てで、全長約16メートル、階段にして約100段ある。新しいエレベーターの運行速度は速いが穏やかで、運行中の物音も感じない。上層階に住む高齢者にとっては、毎日の上り下りに少なくとも5分を要し、かなり大変だ。

 エレベーターを利用すると、1階から6階までの所要時間は20秒程度だった。実際に使用した5階に住む高齢女性は、「エレベーターができて本当に便利になりました」と満面の笑みを浮かべた。

 有料だが、エレベーター管理費として住民が支払う金額も1日平均で1元(約17円)にも満たない。カードキーには200元(約3400円)チャージされており、上り下りで2000回利用できる算段だという。各階のエレベーターの前にある機械にスキャンするとエレベーターを利用できる。車椅子を利用する高齢者などを考慮し、カードキーを読み取るスキャナーの取り付け位置も低くしてある。カードキーは各世帯の人数に合わせて支給される。

 このマンションの「名声」が外部にも広まり、300~400棟に上る老朽化したアパートの住民が設置を待っているという。多くのメディアに取り上げられたことで、別の地区の人たちが争うかのように視察にも来ている。この取材の最中にも、視察にきた高齢者が、設置方法など細かく質問していた。この高齢者は、「業者の話ではエレベーターをマンションの南側に設置する準備もしているそうで、部屋のベランダから直接エレベーターに乗れるようになれば、階段の上り下りの辛さも省けるね」と語った。

 エレベーターの設置工事を行った山東泉順達装配建築の段連存(Duan Liancun)社長は「昨年12月にメディアに取り上げられて以来、江蘇省(Jiangsu)など他地域の団体や住民も視察に来ている」と話している。(c)東方新報/AFPBB News