■中国に抵抗できない下流域諸国

 米環境団体インターナショナルリバーズ(International Rivers)によると、中国政府はすでにメコン川上流に6基のダムを設置し、南部に建設が予定されている11基のダムの半数以上に出資している。

 複数の環境団体はダムによる川のせき止めによって、大勢の人が洪水の被害を受け避難を余儀なくされるのはもちろん、魚類や重要な栄養素、堆積物の移動が妨げられることで魚の生息環境に深刻な脅威をもたらすと警鐘を鳴らしている。

 メコン川下流域の国々では近年魚類資源の激減が報告されており、その原因はこうしたダムにあるとする批判もある。専門家らはメコン川の生態系の基本データが欠如していることやその複雑さから、確定的な結論を出すのは時期尚早だと指摘している。

 しかし下流域の貧しい国々の経済の生命線を中国が握っているという点で専門家の意見は一致している。タイ・チュラロンコン大学(Chulalongkorn University)の外交政策の専門家ティティナン・ポンスディラック(Thitinan Pongsudhirak)氏は、メコン川下流域の国々は「地政学的に中国に抵抗できない」と指摘し、こうした状況が中国政府に「下流域の魚類の生息環境や大勢の人々の生活手段をむしばみ続けることを許すことにつながっている」と説明した。

 現地で瀾滄江(Lancang River)と呼ばれる源流を支配する中国政府はメコン川の一部をせき止めることができるほか水位の調整も可能で、下流がその影響を受ける。

 2016年に中国側のダムの水門を開き、ベトナムの深刻な干ばつの緩和に一役買ったことで示されたように、交渉における強力な切り札となっている。(c)AFP/Suy SE with Sally MAIRS in Bangkok