【1月21日 AFP】オランダ兵2人が2016年に西アフリカのマリで訓練中に死亡したことを受けて設置された委員会は19日、国防当局の労働安全管理が不十分だったとする報告書をアンク・バイレフェルト(Ank Bijleveld)国防相に提出した。

 マリ北東部キダル(Kidal)で2016年7月に行われた軍事演習で迫撃砲が暴発し、国連(UN)平和維持活動(PKO)部隊に参加していたオランダ兵2人が即死したほか、撮影班のオランダ兵1人が重傷を負った。

 4人で構成された委員会は20ページの報告書の中で、国防省は「労働安全の面で管理が不十分だった」と指摘し、軍の「安全意識向上デー」の制定や安全規定を守らせるための内部委員会の設置など幾つかの提言を行った。

 オランダ安全委員会(OVV)もこの事故を調査し、2人の死亡につながった「重大な欠陥」があったと昨年9月28日に発表していた。

 OVVの調査で、オランダ軍は2006年に購入した古い砲弾を使用していたことが判明。この砲弾は北大西洋条約機構(NATO)軍の一員としてアフガニスタンで活動するオランダ軍部隊に時間の制約がある中で急いで供給するため米国防総省の協力を得て購入したものだった。

 その際オランダ国防省は、すでにその砲弾を使用している米陸軍が安全テストを実施したものと考えて独自の手続きや管理を行わなかった。OVVによると問題の砲弾は設計上、水が浸透する部分があり、備蓄された砲弾は内部に浸透した水分と熱によって「不安定で衝撃に弱くなっていた」。

 事故当日、砲弾は正しく迫撃砲に装填(そうてん)されたが、その際の衝撃で暴発したことがOVVの調査で分かったという。この発表を受け、当時のジャニン・ヘニス・プラスハルト(Jeanine Hennis-Plasschaert)国防相は政治的責任があるとして昨年10月3日に辞任した。

 オランダは2014年4月から国連マリ多次元統合安定化派遣団(MINUSMA)に参加。兵士約400人、攻撃ヘリ「アパッチ(Apache)」4機、大型輸送ヘリ「チヌーク(Chinook)」3機をマリに派遣してきた。

 MINUSMAはマリ北部を制圧したイスラム過激派に対する国際的な取り組みの一環として2013年7月に展開した。MINUSMAでは少なくとも80人のPKO要員が死亡しており、1993~95年のソマリアの後の国連のミッションとしては最も多くの人命が失われている。(c)AFP