■表向きは普通の学生や労働者

 独立系シンクタンク「国際危機グループ(ICG)」のシニアアナリスト、ボーハン・オスマン(Borhan Osman)氏は、カブールのIS系組織の戦闘員や支援者らは表向きには家族と暮らして毎日授業に出たり仕事に行ったりしていると指摘する。

 そして夜間に集まってジハード(聖戦)について話し合い、自分たちがよく知るカブール市内の標的に対する攻撃を企てる。昨年5月に約150人が死亡したトラック爆弾による大規模な攻撃以降、市内の警備は強化されているが、彼らは標的を熟知しているためこうした変化にも対応できる。

 オスマン氏は「彼ら全員が貧しいとは言えない。カブールの中産階級家庭の出身者が大勢いる。大学や高校を出ている者もいる」と述べ、大半は何らかの宗教教育も受けていると語った。

 アフガニスタン政府および治安部隊にとって最大の脅威は依然としてタリバンだが、カブールは昨年12月だけで3回の攻撃があり計数十人が死亡するなど、ここ数か月はIS-Kがニュースを独占している。

 アフがニスタン当局や欧米筋がAFPに語ったところによると、ISが犯行声明を出したカブールでの攻撃のうち数件に、昨年のトラック爆弾攻撃を起こしたとされるタリバン系の武装勢力ハッカニ・ネットワーク(Haqqani Network)が関与しているという。攻撃の中には、各国大使館や北大西洋条約機構(NATO)の拠点から数メートルという近さで起きたものもあった。

 米軍は昨年、ナンガルハル(Nangarhar)州のIS施設に大規模爆風爆弾(GBU-43/B Massive Ordnance Air Blast)、通称「MOAB(モアブ)」を投下した。この爆弾が実戦で使われたのはこれが初めてで、実戦で使用された史上最大の非核爆弾となった。

 米軍はさらにアフガニスタン軍と連携し集中的な空爆を実施した。しかし専門家らは、この戦略でISを壊滅させることはできなかったと指摘する。それどころか、モアブのような圧倒的な威力を持つ大型爆弾使用が選択肢とならないカブールへの戦闘員の流入を加速させる結果になったのではないかと言われている。