【1月10日 AFP】オーストラリアのコンセッタ・フィエラバンティ・ウェルズ(Concetta Fierravanti-Wells)国際開発・太平洋担当相は10日、中国が太平洋で「無用の長物」でしかないインフラ事業に投資していると発言し、両国の関係緊張を高めかねない状態が生じた。

 先月オーストラリア政府は外国による干渉に関する法案を提出した際、名指しで中国への懸念を表明。反発した中国政府との間で摩擦が生じていた。

 中国は太平洋島しょ国とのつながりを深めている。豪シンクタンク・ローウィー研究所(Lowy Institute)によると、2006~16年までの10年間に太平洋地域で実施されたプロジェクトに対する中国の援助額は、無利子融資を含めた17億8000万ドル(約1990億円)に上る。

 ウェルズ国際開発・太平洋担当相はこの地域での中国の影響力は「明らかに増大」している一方で、開発への財政支援が「無用の長物」になって終わっていると指摘した。

 同氏は現地紙オーストラリアン(Australian)に対し、「太平洋には誰も管理しない役立たずの建物がたくさん建設されている。これらは基本的に無用の長物だ」とコメント。国際開発業務で太平洋周辺へ赴いた24回の旅で、管理が行き届かず有効活用できていない「非生産的なインフラ」を目にしたと述べた。

 さらにウェルズ氏は、世界銀行(World Bank)やアジア開発銀行(ADB)からの融資と違い、中国からの貸付は好条件と言えないことから「(太平洋)諸国が中国へ返済する段になって何が起きるか、全く見当がつかない」とコメントした。(c)AFP