【1月4日 AFP】米アラスカ州中部で見つかった1万1500年以上前に死亡したとみられる女の乳児の骨を調べたところ、この女児がこれまでに知られていなかった集団に属していたことが分かった。研究論文が3日、発表された。論文によると、女児のゲノム研究は米大陸への人類の定住に関する理解に新たな光を当てるものだという。

 研究チームは女児の骨から採取した遺伝子を調べ、この女児が所属していた集団が約2万年前にシベリアから到達した可能性が高いと結論付けた。

 米アラスカ大学(University of Alaska)の研究者ベン・ポッター(Ben Potter)氏は、AFPの取材に「今回の研究が示しているのは、すべてのアメリカ先住人の祖先が最終氷河期の同一の集団にさかのぼることができるという、遺伝子に基づく初の直接証拠だ」と語った。

 ポッター氏のチームは、2013年にアラスカ中部のアップワード・サン・リバー(Upward Sun River)の考古学遺跡で発掘された幼児の遺骨のDNAを分析。女児の骨の遺伝子情報から、所属する集団の祖先集団がアメリカ先住民の祖先集団と共通していることを特定することができた。

 この共通の集団について研究チームは、今日のロシアの辺りに約3万6000年前に出現し、もともとは、子孫に漢民族を含む東アジアの集団から分離したものとしている。

 共通の祖先の集団は数千年の間アジア周辺に留まっていたとされ、東アジアエリアの別の集団との交配についても遺伝的証拠で示されている。(c)AFP/Mariëtte Le Roux