【12月31日 東方新報】広場舞(広場ダンス)を巡るトラブルの頻発に伴い、中国国家体育総局(General Administration of Sport of China)は2017年11月、各地域の体育部門が管理を強化するよう求めた『広場ダンスのルールについての通知』を発表しているが、過去にも同局が対応を迫られたことがあった。「広場ダンスの健全な発展のため」として2015年、専門家などが「広場ダンスの12パターン」を作成、普及を試みている。

「12パターン」がどの程度国民の間に浸透したかは不明だが、このダンスの専門家である剛毅(Gang Yi)氏は、「広場ダンスの愛好家たちはみな向上心を持っており、毎日を大切に生きている人たち。参加者の多くはボランティア活動などにも積極的に参加している」と擁護する。剛氏によると、北京市内の公園で現在活動している広場ダンスのチームの多くは、地元当局へ届け出ているという。

 心身の健康をもとめて広場に集い、舞う中高年たち。高齢化社会の側面を映し出す、中国的現象なのだろう。

 しかし、ダンスに使用する音楽などの好みは、やはり若者世代からすると「ちょっとダサい」ようだ。おそろいで着ている派手な衣装も、好みが分かれる。「文化大革命の混乱を生き抜いてきた中高年世代は、どことなく怖い。口にこそ出さないが、そう思っている若者世代は多い」と、20代女性は話す。

 ダンスに集う中高年の子ども世代は80後(80年代生まれ)、90後(90年代生まれ)などと呼ばれ、一人っ子政策のもと大事に育てられ、中国経済発展による豊かさを享受して育ってきた世代だ。 

 中国社会で広場ダンスの賛否をめぐる議論が再燃するきっかけとなった、若者グループと広場ダンスの中高年グループがバスケットボールコートを巡って衝突する動画。若者が一方的に殴られている構図が象徴的だったからこそ、インターネットで注目を集めたのかもしれない。

「若者たちはダンスの集団に向かって、『死に損ない!』などと大声でののしったのよ。あの子たちの親よりもおそらく年上の私たちに向かって、あんな侮辱は許せない」。若者との衝突現場にいた楊おばさんは、鼻息荒く語る。