【12月30日 東方新報】広場舞(広場ダンス)を巡るトラブルは、中国各地で報道されている。インターネット上で話題になった、バスケットボールコートを巡って若者らが中高年に殴られた動画だけでなく、広場ダンスの中高年グループ同士が場所を取り合って殴り合ったり、ダンスの音がうるさいとして踊っていた中高年がパチンコ玉で打たれたりする事件も起きている。

 広場ダンスによるトラブルを防ぐため、地域ごとに場所、時間、音量などのルールが定められているが、誰が監督・管理すべきなのかなどはあいまいで、あまり効果を発揮していない。

 北京(Beijing)市内の公園で長年、広場ダンスを踊っているという王さんは、「以前は、太極拳やほかの活動をする人たちと場所取りが原因で衝突したこともあった。私たちはダンスのグループを二つに分けて、別の場所で踊ることにした。現在の公園内の平和な状況は、長い時間をかけて築かれたもの」と話す。

 同じく北京市に住む厳さんが踊っている公園も、以前は混乱していたという。「チーム同士の仲も悪く、どのチームの音量が一番大きいかで暗に張り合っていた。徐々に定位置が決まっていくにつれて、譲り合うようになった」という。広場ダンスの代名詞になりつつある「爆音」の背景には、こうした事情もあるようだ。また、使用料を払わないといけない体育館と違い、「タダ」で踊れる広場は、おばさんたちにとって魅力的だ。

 騒音が問題の根源だとして、参加者全員がイヤホンをつけて「サイレント」広場ダンスを楽しむグループもある。重慶市(Chongqing)の路上では、数百人もの広場ダンス愛好家がイヤホンをつけて一斉に静かに踊る。それぞれの耳にはイヤホン、腰には受信機。無線機で音楽を発信しているので一切音楽は聞こえないが、踊っているおばさんたちは楽しそうだ。ダンスグループのリーダーの女性は、6キロもあるスピーカーを広場に運ぶ必要も無くなったと喜んでいる。