■「子羊やウサギと同じ」

 人口5000万人の韓国でペットを飼っているのは約5人に1人と言われている。飼われているペットの多くはおそらく犬や猫だろう。しかし、その他大勢にとっては犬も「子羊やウサギと変わりない」のだ。

 2017年に韓国で実施された世論調査によれば、犬を食べないと答えたのは70%だが、犬食を廃止すべきとの回答は40%だった。

 一方、清州(Cheongju)にある忠清大学(Chung Cheong University)の安龍根(Ahn Yong-Geun)教授(食品栄養学)は犬食廃止に真っ向から異論を唱える。「(活動家が犬食廃止を推進するのは)豚や牛を救うプロジェクトでは支援者が盛り上がってくれないからだ。そうした動物だって犬と同じくらい苦しむだろうし、同じくらい愛情を示すこともできる」

 HSIの国際メディア担当、ウェンディ・ヒギンズ(Wendy Higgins)氏は、同団体の目的は「人々の食生活から肉食を減らすこと」だと述べる一方で、牛や豚の救済活動は広がっていないことを認めた。それでも犬食の残酷さを訴えていけば、いずれ人々の関心は犬以外の畜産動物にも向けられるようになると期待を込めて語った。

 養犬をやめたキムさんだが、HSIとの取り決めによりその他の畜産動物の飼育についても禁じられた。「社会の環境が変わった」とキムさんは言う。「今じゃ、犬を食べれば犯罪者扱いだ」 (c)AFP/Jung Ha-Won