【12月29日 AFP】北米が猛烈な寒波に襲われる中、フロリダ州マーアーラゴ(Mar-a-Lago)の別荘で休暇中のドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領(71)は28日、気候変動説を揶揄(やゆ)するコメントをツイッター(Twitter)に投稿した。

「東部では史上『最も寒い』大みそかになるようだ。たぶんわれわれは、古き良き地球温暖化をもうちょっと活用してもいいんじゃないか。わが国は他の国々とは違い、温暖化対策に『何十兆ドルも』つぎこむ予定だったのだから。暖かい格好をしよう!」

 このトランプ氏の投稿には、寒波を利用して気候変動の科学的根拠をあざけっているとして、多くのツイッターユーザーからあきれた声が上がっている。

「天気と気候は違うものだ。大統領はその違いを理解するべきだ。難しいことではない」と、ワシントン州選出のプラミラ・ジャヤパル(Pramila Jayapal)米下院議員はツイートした。

 カリフォルニア科学アカデミー(California Academy of Sciences)のジョン・フォーリー(Jon Foley)館長は、「信じようが信じまいが、地球の気候変動は正真正銘の現実だ。たとえ今まさにトランプタワー(Trump Tower)の外が寒くてもだ。あなたがビッグマック(Big Mac)にかぶりつこうとする瞬間にも、世界では飢餓に苦しむ人がいるように」と投稿した。

 一方、米紙ワシントン・ポスト(Washington Post)の気象欄「キャピタル・ウェザー・ギャング(Capital Weather Gang)」の公式ツイッターアカウントは27日、トランプ氏の投稿に先立ち、寒さが1週間続くとの予報に続けて次のように警告していた。「世界の他の地域では平年よりかなり暖かい天候が続く点にご留意ください。米国の一時的な寒さを理由に、地球温暖化は偽りだと証明されたなどと主張しようとする無責任なやからがいるといけないので」

 トランプ氏は地球温暖化を中国人の作り話だと主張。温暖化対策の国際的枠組み「パリ協定(Paris Agreement)」からの離脱を表明し、環境関連の主要政権ポストに化石燃料推進派を起用した。また、トランプ政権の国家安全保障戦略では、米国を脅かす脅威の項目から地球温暖化が削除された。

 米中部と北東部、カナダの広域では現在、寒波の影響で多くの住民が外出できなくなっている。車のバッテリーが上がるトラブルも続出。火災で出動した消防隊も、放水が凍り付くなどの困難に見舞われている。カナダ当局は、気温が氷点下35度近い地域では、皮膚を露出した状態で屋外に出れば10分もたたないうちに凍傷になると警告している。(c)AFP