【12月27日 AFP】サウジアラビアで26日開幕した同国初の国際チェストーナメントで、イスラエル人選手がビザ(査証)を得られず欠場を余儀なくされた。両国に国交がないことが理由とされるが、イスラエル側は開催に至る経緯に問題があったとして猛反発。主催者である国際チェス連盟(FIDE)に補償を求める異例の事態となっている。

 サウジアラビアで開催されているのは「キング・サルマン・ワールド・ラピッド・アンド・ブリッツ・チャンピオンシップ(King Salman World Rapid and Blitz Championships)」。保守的な同国が西側文化への開放を進めていることを示すものと受け止められている。

 FIDEの規則では、あらゆる選手に参加の機会を与えなければならないとされているが、この大会では当初、イスラエルのほか、サウジの敵国であるイラン、断交したカタールの3か国の選手に対してビザが発給されなかった。

 FIDEは25日、カタールとイランの選手のビザは確保できたものの、サウジ側に大会のためイスラエルの選手の入国を認めてもらうことでは合意できなかったと発表していた。

 在米サウジアラビア大使館の報道官はツイッター(Twitter)で、イスラエルの選手がビザ発給を拒否されたのはサウジとイスラエルに国交がないからだと説明している。

 だがイスラエル・チェス連盟(Israel Chess Federation)は強く反発し、FIDEを欺いて今回の大会を開催できるようにしたと非難。FIDEに対して、「職業・金銭上の損害」を受けた7選手への金銭的補償を求めていくとしている。(c)AFP