【12月26日 AFP】ドーピング問題で国際オリンピック委員会(IOC)から永久追放処分を受けたロシアのビタリー・ムトコ(Vitaly Mutko)副首相が25日、スポーツ仲裁裁判所(CAS)へ処分不服を申し立てる間、同国サッカー連合(RFS)の会長として離職することを明らかにした。

 2016年のリオデジャネイロ五輪から除外され、今月IOCから国家ぐるみのドーピングに関与したと認定されて五輪から永久追放処分となったムトコ副首相は、RFSの理事会後、報道陣に対して、「明日にもCASに提訴する決断を下した。捜査期間中にRFSに支障が及ぶのを避けるため、私は最大6か月間ほど自分の職務を停止することを求めた」と語った。

 ロシア指導部から別の裁定が下されない限り、ムトコ氏は副首相にとどまることに加えて、来年の夏に母国で開催される2018年サッカーW杯ロシア大会(2018 World Cup)への準備を見守っていく意向を示し、「国際サッカー連盟(FIFA)や大会組織委員会との関係については、ウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領が私を信頼してくれる限り、副首相の職務を続けながらW杯の準備を監査していく」と述べた。

 ムトコ副首相はまた、W杯大会組織委員会の会長を退くことを「提案」する用意はあるとしながらも、「それは国家責任者、政府のトップ、あるいは監査役が決めることだ」とコメント。CASへの法的手続き次第で最大6か月に及ぶ可能性がある自身の停職中には、RFSの理事長を務めるアレクサンドル・アラエフ(Alexander Alayev)氏が会長代行を務めることになると明かした。

 処分を不服として裁判に訴える決断を下した理由について、ムトコ副首相はそうしければ自分が有罪とみなされるからであると説明したものの、職務を辞任する考えは否定し、「辞めるつもりはない。私の権限はまだ生きている」と主張した。

■FIFAは決断を「理解」

 ムトコ氏は離職するにもかかわらず、W杯ロシア大会に向けた大会組織委員会の責任者にとどまっており、FIFAは同日、同氏の決断がW杯に影響を及ぼすことはないという考えを示した。

 FIFAの広報担当者は、「FIFAはムトコ氏の決断を理解する。それは来夏のW杯にとって最大の利益であると考えてのことでもある。FIFAはムトコ氏の責任ある行動や、W杯に向けたこれまでの尽力に感謝している」と述べた。

「ムトコ氏の決断は、来夏のW杯を成功させる上で何の影響もない。FIFA、ロシア政府、RFS、そして地元組織委員会は引き続き有益な連携を図り、計画通りにW杯の準備を進めていく」 (c)AFP/Maria PANINA