【12月25日 AFP】「サンタさんいつ来るの?」──クリスマスイブに世界中の小さな「良い子」たちが口にする疑問に答えようと、1955年から毎年、サンタクロース追跡情報を提供してきた北米航空宇宙防衛司令部(NORAD)。今年も、トナカイの引くそりに乗って地球を駆け巡るサンタの現在地を3D(3次元)インタラクティブ画像で発信している。

 ウェブサイト「NORAD TRACKS SANTA」(www.noradsanta.org)では、画像の上をクリックするとサンタが通過中の都市の情報を知ることもできる。

 カナダと米国が共同運営するNORADのサンタ追跡作戦は、米コロラド州の新聞が掲載した広告の「サンタクロースと話せる」電話番号がNORADの専用回線につながってしまったことがきっかけで始まった。電話を掛けて来た子どもたちを失望させないため、当時の司令官ハリー・シャウプ(Harry Shoup)大佐が部下に命じ、レーダーでサンタの居場所を確認し子どもたちに教えるよう計らったのだ。

 今年のイブには、ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領とメラニア(Melania Trump)夫人も、年末休暇先のフロリダ州マーアーラゴ(Mar-a-Lago)からNORADの企画に参加した。

「一番欲しいものは何かな?」と子どもたちに問いかけたトランプ大統領は、積み木が欲しいと答えた子どもには「積み木か、私も昔から大好きだよ」と応じ、続いて入院中の祖母を助けてほしいと言った子どもには「おばあちゃんの退院が君の望みなのかい? 素晴らしい、おもちゃなんかを欲しがるよりずっといい」「おばあちゃんは良くなるよ、大丈夫」などと語りかけた。

 メラニア夫人は「メリークリスマス。サンタを追いかけているの? 今どこにいるか知ってる?」「あなたが眠ったらすぐサンタさんは来ますよ」などと話した。

■「世代を超えた伝統」

 NORADは普段、航空宇宙と海洋の安全確保と監視の役割を担っている。北朝鮮が発射したミサイルの追跡も任務の一つだ。サンタクロースも平壌上空を通過する際にはミサイルに気を付けなければならないだろう。

 グリニッジ標準時25日午前1時半(日本時間同午前10時半)の時点で、サンタは44億個のプレゼントを配り終え、南米のフランス領ギアナへ向けて移動していた。

 NORADでサンタ追跡作戦の電話対応に当たるボランティアには、軍服姿の兵士もいる。ツイッター(Twitter)の公式アカウントに投稿された写真には、迷彩柄のサンタ帽をかぶった兵士の姿も。現NORAD司令官のロリ・ロビンソン(Lori Robinson)大将は政治サイトのポリティコ(Politico)に、サンタ追跡は「世代を超えて魅力的な伝統になった」と語った。「NORADが北米を防衛している事実を思い出してもらえるだけではない。私たちの究極の目標は、クリスマス休暇に善意と喜びを届けることだ」

 ポリティコによると、サンタ追跡作戦に参加するには全14ページのマニュアルを読んで作戦を理解しなければならない。マニュアルには、こう書かれている。「ロケットやミサイルは発射されると大量の熱を発し、衛星で検知できる。(サンタのそりを引く)トナカイのルドルフ(Rudolph)の赤く輝く鼻は、ミサイル発射時と似た赤外線の痕跡を残すので、衛星による追跡に支障はない」 (c)AFP