■脅迫と死

 だがPNNIの警備隊は他の環境運動家ならば払いたがらないだろう代償を払っている。隊員の生命だ。

 2004年、チームの一員だったロジャー・マジム(Roger Majim)さんの遺体が浜に掘られた浅い穴から発見された。チャンさんはそのときの光景を今も忘れられない。「違法伐採者たちは、彼が履いていたサンダルを遺体を埋めた場所に置いていった。掘り起こした遺体には16か所の刺し傷があったと思う。目はくりぬかれ、舌は切られ、切り落とされた睾丸が口に押し込まれていた」

「あれはここにおまえたちの仲間を埋めたぞ、活動を続ければおまえたちもこうなるぞ、というメッセージだった」。2001年以降、殺害されたPNNIの隊員は12人に上る。

 最近では9月に、違法伐採地に近づこうとしたルベン・アルザガ(Ruben Arzaga)さん(49)が頭を撃たれて死亡した。その1週間後チャン氏は、メンバーが死ぬと、このプログラムを続けるべきなのか考えさせられると語った。「誰かを亡くすたびにわれわれは弱くなる。恐怖が増すし、最初にみんなで始めたときに持っていた理想の一部を失うように感じる。彼以前に亡くなったメンバーも含めて、彼らが死んだ責任の一端が自分にもあると感じざるを得ない」

 しかし、チャン氏も隊員も常に仲間の死から立ち直ってきた。アルザガさんの葬儀へ向かう途中、彼が殺された場所に近い森林の中で警備隊は再びチェーンソーを没収しようとした。木が切り倒されたばかりの場所を2か所発見した。雨が激しく、伐採者たちは木材を置いて立ち去っており警備隊は手ぶらでその場を後にした。だがそれはPNNIがまだ敗北していないことを証明していた。(c)AFP/Karl MALAKUNAS