■写真も手紙もなし

 身内が死亡して何日も発見されずにいたことを知った親族の苦悩に加え、孤独死にはアパートの価格を急落させるという現実的な側面もある。

 あんしんネットの石見氏は、日本ではこの問題および孤独な高齢者が直面する尊厳の喪失という問題について若者を教育する必要があると語る。「個人が、最後どういった亡くなり方をしたいのか。社会全体が考えないといけないと思います」

 東京のアパートでは大島さんとそのチームが、人口が密集する近隣に悪臭が広がらないよう窓を閉め切ったままにしていた。部屋には多数のCDとDVDがあり、音楽と映画を愛する男性が質素で清潔な生活を送っていたことがうかがわれた。だがそれ以外の物はほとんど何もなかった。写真や手紙もなかった。

 男性の所持品の大半は処分されるが、大島さんは2人の同僚と共に、整然と順序よく遺品を見て貴重品がないか調べていた。いつの日か遺族が現れ、遺品を見たいと希望した場合に備えてのことだ。

 大島さんは「警察が捜しているのですが、ご親族が見つかっていない状況です。警察も戸籍をさかのぼったりしているようです。現在のところ、まだ見つかっていないようです」 と語った。(c)AFP/Hiroshi HIYAMA