【12月19日 AFP】今年11月死去したファッション界の伝説、アズディン・アライア(Azzedine Alaia)が手掛けた最後のコレクションが来年仏パリで公開される。アライアのクチュールハウスが18日に発表した。

 身体にまとわりつくようにボディラインを強調したドレスを得意とし、「キング・オブ・クリング(King of Cling)」として知られるチュニジア出身のデザイナー、アライアは11月、パリの自宅の階段から落下後に心不全で亡くなったとされている。

 それ以来、彼のブランドの今後について噂が絶えなかった。

 しかし18日にクチュールハウスが発表した声明によると、ブランドは今後も継続していくとし、アライアが製作した最後のレディ・トゥ・ウェアとアクセサリーのコレクションは、来年1月と3月にパリで公開すると明かした。

 発表には「アライア・ファミリーを構成する多くの才能――その内の何人かは30年以上彼と仕事をしてきた――は、新しい章を迎えるこのハウスに留まる」とつづり「このファミリーは、アライア氏のビジョンとスタイルを受け継ぎ、タイムレスな美しさを今後もアライア氏のスタジオで具現化していく」とした。

 世界のファッションウィークの日程に乗ることは拒否し、彼のタイミングでコレクションを発表し続けたアライアは、今年7月に6年越しとなったコレクションを発表し熱狂的な評価を得た。

 アライアの長年の友人でミューズであったスーパーモデルのナオミ・キャンベル(Naomi Campbell)は、チュニスで埋められた彼の墓で涙を流した。2人はとても近しい関係で、キャンベルはアライアを「パパ」と呼んでいた。

 アライアは彫刻家として修業をしており、その芸術性を針と糸に応用した。

 独立を求めるアルジェリア戦争の最中、アライアはパリへと移った。そこで「クリスチャン・ディオール(Christian Dior)」で職を得たが、正式な入国書類を持っていなかったため辞めざるを得なかった。

 しかしそんな逆境を乗り越え、ギ・ラロッシュ(Guy Laroche)やティエリー・ミュグレー(Thierry Mugler)の元で働き、その後自身のブランドを立ち上げ富裕層の顧客から支持された。

 アライアの広報は、彼の作品を保護するための財団を作っていると発表。パリ・マレ(Marais)地区にあるアライアのスタジオ横にあるスペースで定期的に展覧会を行うとした。

 アライアの作品を展示した回顧展、「Azzedine Alaia, The Couturier」は、ブランド初の英国ブティックがオープンする5月に、ロンドンの「デザイン・ミュージアム(Design Museum)」で開催される。(c)AFP