■「社会における女性の境遇」を反映

「より広い観点から見ても、女性受賞者の数が多くないのは残念だ」。物理学賞、化学賞、経済学賞の選考を行うスウェーデン王立科学アカデミー(Royal Swedish Academy of Sciences)のヨラン・ハンソン(Goran Hansson)事務局長はこう述べた上で、医学生理学賞、化学賞、平和賞、文学賞の選考委員会では現在、女性が委員長を務めていると指摘。「委員会には男性優越主義的な偏見は一切ない」と強調した。

 科学の分野で女性の受賞が非常に少ないのは、研究室の門戸が長く女性に閉ざされていたためだというのがハンソン氏の見解だ。

 経済学賞についても、2017年の受賞が決まった米経済学者のリチャード・セイラー(Richard Thaler)氏は7日、スウェーデンの首都ストックホルムで「確かに、われわれは全員、白人男性だ。年配の白人男性だ。だが、受賞したプロジェクトは全て30年かそれ以上続いてきたものだ」と述べた。

 文学賞はこれまでに14人の女性が受賞し、全文学賞受賞者の12.3%を占めている。しかも、女性の受賞例は目覚ましい勢いで増えており、2007年以後に限ると受賞者の36%が女性だ。スウェーデン・アカデミー(Swedish Academy)のサラ・ダニウス(Sara Danius)事務局長は、自身のブログに「物事は正しい方向に向かっている」と書いている。

 平和賞は歴代受賞者の15.4%に相当する16人の女性が受賞し、最も女性に好意的な賞といえるが、それでも平等にはほど遠い。とはいえ、他の賞と同様、徐々に女性の受賞が増えていて、過去15年間では6人が受賞している。

 ノルウェー・ノーベル賞委員会(Norwegian Nobel Committee)の事務局に当たるノーベル研究所(Nobel Institute)のオラブ・ニュルスタッド(Olav Njolstad)所長は、女性の受賞者数は「20世紀の社会における女性の境遇」を反映していると指摘。「長い目で見れば、男性が多数を占める委員会を(男女)半々程度にすることがもちろん重要だ」と述べた。(c)AFP/Gaël BRANCHEREAU with Pierre-Henry DESHAYES in Oslo