【12月4日 AFP】コンゴ民主共和国で昨年12月に発生したジョゼフ・カビラ(Joseph Kabila)大統領に対する抗議デモをめぐり、国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウオッチ(HRW)は4日、同国政府が反政府武装勢力の元戦闘員を雇って鎮圧に当たらせた疑いがあると指摘した。このデモでは数十人が死亡している。

 HRWが発表した報告書によると、カビラ政権はかつての反政府武装勢力「M23(3月23日運動)」の元戦闘員を雇い入れ、カビラ大統領が辞職を拒否したことに対する抗議デモの鎮圧に当たらせたという。

 また、報告書は「コンゴ民主共和国の治安部隊の高官らが200人を超える近隣諸国出身のM23元戦闘員を動員した」と指摘。元戦闘員らとデモ鎮圧に当たったコンゴの治安部隊は少なくとも62人を殺害し、数百人を逮捕したとしている。

 主にツチ(Tutsi)族で構成されたM23 は2013年11月、政府軍と国連(UN)軍との戦闘に敗れ、数百人の戦闘員が国外に逃亡。しかし複数の当局者や住民は、戦闘員らがその後、国内に戻ってきたのを見たと証言している。

 120回以上の聞き取り調査を基にまとめられたという報告書で、HRWは「M23の戦闘員らはコンゴの主要都市で警戒活動を行い、デモ参加者や、大統領を脅かすと思われる人物らに向け発砲したり逮捕したりした」と強調している。

 コンゴ民主共和国ではカビラ氏が次期大統領選を2018年12月まで延期する意向を示しているが、反大統領派は同氏の早期の辞任を求めており、新たな火種となることが懸念されている。(c)AFP