【12月2日 AFP】(更新)マイケル・フリン(Michael Flynn)前米大統領補佐官(国家安全保障担当、58)が1日、ロシアとの接触をめぐり米連邦捜査局(FBI)に虚偽の供述をしたとして訴追され、法廷で罪状を認めた。米国では、昨年の大統領選におけるドナルド・トランプ(Donald Trump)陣営とロシア政府の共謀疑惑をめぐる捜査が広がりを見せている。

 フリン氏は、ロシアによる米大統領選介入疑惑をめぐり訴追された4人目のトランプ陣営関係者で、このうち最も高い地位にいた人物でもある。ロバート・モラー(Robert Mueller)特別検察官はトランプ大統領と家族、人員、顧問らに対し幅広く捜査を行っており、フリン氏はモラー氏の捜査に協力することに合意。FBIに虚偽の供述をしたとして罪を認めた。

 法廷文書は、フリン氏は「政権移行チームの高位にあった人物」からロシア側との接触を指示されたと指摘しているが、米ホワイトハウス(White House)は、トランプ大統領とロシア政府による共謀を同氏が示唆する可能性があるとの見方を否定した。

 米紙ワシントン・ポスト(Washington Post)は複数の関係者の話として、「政権移行チームの高位にあった人物」の中にはトランプ米大統領の娘婿であるジャレッド・クシュナー(Jared Kushner)上級顧問も含まれていたと報じた。

 一方、米ABCニュース(ABC News)が同日、未確認情報として報じたところによると、フリン氏は今後、大統領本人からロシア政府との接触を指示されたと証言する見通し。

 フリン氏は、昨年12月にセルゲイ・キスリャク(Sergey Kislyak)駐米ロシア大使(当時)と行った私的な面談に関し、今年1月24日に行われたFBIの事情聴取で虚偽の供述をしたことを認めた。

 バラク・オバマ(Barack Obama)前米政権は昨年12月29日、ロシアによる大統領選介入への報復として、同国外交官35人の国外退去などの新たな制裁措置を発表したが、フリン氏はキスリャク氏との面談で、制裁に対するロシア側の反応を和らげるよう要請したとされる。

 オバマ政権はその後、制裁に報復しないとのロシア政府の決定に困惑し、フリン氏やトランプ陣営が介入した可能性について捜査を開始。フリン氏は1月の事情聴取で、キスリャク氏に要請を行ったとの疑惑を否定した。

 フリン氏が訴追されたことにより、モラー特別検察官の捜査対象がトランプ大統領側近、あるいは大統領自身にまで迫ってきていることが明白になった。

 トランプ陣営の外交政策顧問を務めていたジョージ・パパドプロス(George Papadopoulos)氏も1日、捜査に協力することを明言した上で、捜査官らに対して虚偽の供述をしていたことを認めた。同氏は、トランプ氏とウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)ロシア大統領による会談を大統領選前にセッティングしようとしたとされている。(c)AFP/Paul HANDLEY, Sébastien BLANC