【11月30日 AFP】ニュージーランド南島のクライストチャーチ(Christchurch)で2011年に起きた大地震で、日本人の語学留学生ら115人が死亡したビル倒壊をめぐって設計士らの過失責任について刑事捜査していた地元警察当局は30日、立件を断念したと発表した。過失致死容疑で訴追するには証拠が不十分だと判断したという。

カンタベリーテレビ(CTV)ビルは、2011年2月22日にクライストチャーチを襲ったマグニチュード(M)6.3の地震で崩壊した。地震発生からわずか20秒以内に建物は完全に崩れ落ち、激しく炎上。中にいた日本と中国からの留学生65人を含む115人が死亡し、犠牲者の身元確認作業は困難を極めた。

 警察は4年にわたって捜査を続けてきたが、30日、設計関係者を過失致死容疑で訴追しても裁判で有罪判決を得られるだけの証拠がそろわなかったと声明で発表した。

 ニュージーランド史上、過去80年で最悪の被害を出した地震は、南島の最大都市クライストチャーチの繁華街を壊滅させ、死者は185人に上った。CTVビル倒壊の犠牲者がその約3分の2を占める。

 CTVビルは1980年代に建てられた6階建てのオフィスビルだった。同ビル倒壊について調査した王立委員会は2012年、設計に重大な欠陥があり、建築許可を出してはならない建物だったと結論付けたほか、前年に起きた地震で建物が損傷していたにも関わらず地元当局が見落としていたと指摘していた。(c)AFP