【11月28日 AFP】欧州連合(EU)は27日、発がん性が懸念されているグリホサートを主成分とする除草剤について、認可を5年間更新することを決めた。EU諸国は認可更新の是非をめぐり数か月にわたりこう着状態に陥っていたが、大国のドイツが予想に反して賛成に回ったことが決め手となった。

 欧州委員会(European Commission)による認可更新の提案に賛成票を投じたのは、EU加盟28か国のうち18か国。フランスを含む9か国は反対票を投じ、棄権は1か国だった。

 前回の投票を棄権していたドイツの方針転換は、アンゲラ・メルケル(Angela Merkel)首相の意に反して行われたとされ、同首相が進める次期政権の樹立に向けた取り組みが特異な緊張状態を生んでいることを示すものとなった。

 ドイツのバルバラ・ヘンドリクス(Barbara Hendricks)環境・建設・原子力安全相によると、ヘンドリスクス氏はクリスチャン・シュミット(Christian Schmidt)農相に対し、認可更新に反対する意向を伝えていたものの、ベルギーの首都ブリュッセルでの会合に参加したドイツ農務省の代表者が「事前に交わされた合意とは異なる指示」を受け取り、棄権せずに賛成票を投じたという。

 グリホサートは1974年、米農業バイオ大手モンサント(Monsanto)が「ラウンドアップ(Roundup)」の商品名で発売した。グリホサートは世界保健機関(WHO)の研究で「おそらく発がん性がある」とされたが、その後の研究結果では発がん性が否定された。(c)AFP/Lachlan CARMICHAEL