【11月26日 AFP】ベネズエラは25日、米国の制裁措置が医薬品不足を招いているとして、病気を患っている3万5651人を対象に医薬品の支給を開始した。医療関係者の間では全医薬品のうち95%が入手できない状態だと言われている。

 医薬品をもらうには政府の電子カードが必要とされており、政権支持者を優遇するものだとの批判もある。ルイス・ロペス(Luis Lopez)保健相は国営VTVテレビで、全国24州(首都区を含む)のうち10州で医薬品の支給を始めており、翌週には残りの州でも始めると語った。

 医療人権団体CODEVIDAを率いるフランシスコ・バレンシア(Francisco Valencia)氏は、腎臓病などの慢性病やがんの患者約30万人が必要な医薬品を入手できていないと推定されており一層の取り組みが必要だと述べた。

 患者やその家族らは22日、カナダやオランダ、ペルー、米国の各国大使館前で、人道目的の医薬品支給をニコラス・マドゥロ(Nicolas Maduro)大統領に働きかけるよう求めるデモ行進を実施した。ベネズエラ政府は国内に人道危機は存在しないと主張しており、医薬品の輸入や供給を困難になった要因は米国の制裁措置だと説明している。

 ベネズエラの原油確認埋蔵量は世界最大であるものの、国際原油価格の低迷で主なハードカレンシー(国際決済通貨)収入源が劇的に縮小。多くの国民は食糧や医薬品の不足に直面している。(c)AFP