■タイムトラベラー

 約1200人いるワイアピの大半にとっては、ペドラブランカを訪れる機会はほぼ皆無だが、ジャワルワ・ワイアピ(Jawaruwa Waiapi)さん(31)は毎週町を訪れている。二つの世界を行き来するその様子は、まるでタイムトラベラーのようだ。

 うっそうとしたジャングルの険しい丘で育ったジャワルワさんは昨年、ペドラブランカの町議会議員選挙に立候補し、見事当選した。ワイアピから立候補して当選するのはジャワルワさんが初めてだ。彼のように、ワイアピの人々が「白人の領域」と呼ぶ世界にどっぷりと浸かっている存在は非常にめずらしい。

 ぺドラブランカでは、ジーンズにこざっぱりとしたチェックのシャツを着て、デスクの後ろに座っているジャワルワさん。「町では町のルールに従わなければならない。ここでは生活のために金が必要だし、何かにつけて支払いが必要だ」と語り、「村に帰れば金は必要ない。水もタダ、薪もタダだ」と続けた。

 立候補した理由については、町議会に先住民出身者が1人もいなかったからだと語った。それは国会も同じだ。「他に誰がわれわれのために闘ってくれるのですか?」とジャワルワさんは言う。

 鳥たちの大きな鳴き声が響き、太陽の下で日々の暮らしが営まれる集落に戻るとジャワルワさん一家は肩の力が抜けるという。妻のモニンさん(24)は「子どもたちは町での生活が好きではない」と話し、「服を着たり、(川で水浴びをする代わりに)シャワーを浴びたりしなければならないから」だとその理由を述べた。