■北朝鮮で訓練された兵で大虐殺

 1980年のジンバブエ独立後、国家安全担当相だったムナンガグワ氏は、マタベレランド(Matabeleland)州とミッドランズ(Midlands)州で反体制派と見なされた人々の「グクラフンディ(Gukurahundi)」大虐殺を指揮した。

 この事件では、多数派民族ショナ(Shona)人の大半から支持されたムガベ政権が、北朝鮮の訓練を受けた第5旅団にヌデベレ(Ndebele)人約2万人を殺害させ、国民感情に深い傷を残した。

 ムナンガグワ氏はまた、ムガベ氏が敗北する可能性もあった2008年の大統領選でも暴力行為や脅迫を多数主導。多数の死者を出し、野党候補を撤退に追い込んでいる。

 国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウオッチ(Human Rights Watch)のデワ・マビンガ(Dewa Mavhinga)氏は「これは軍の支持を受けたZANU-PFの独裁体制内の指導者交代にすぎない」と断じる。

 ムナンガグワ氏はこのほか、金やダイヤモンドの違法採掘にも手を染め、ZANU-PFへの資金源とするばかりか私服も肥やしたとされる。

 ムナンガグワ氏は以前、米国と欧州連合(EU)の制裁対象になっていたこともある。

 ハラレで働く公務員のオスカー・ムポンダ(Oscar Muponda)さんは「必要なのはトップの人物1人を取り除くだけでなく、体制を全面的に刷新することだ。前進できるかどうかは疑わしい。ZANU-PFは大嫌いだし、独裁者の後釜に別の独裁者が座るなどごめんだ」と吐き捨てた。(c)AFP/Ben SHEPPARD