■専門家は懐疑的

 今回の研究結果をまとめた論文の主執筆者で、米サウスフロリダ大学(University of South Florida)の研究者のジェリー・エドワーズ(Jerri Edwards)氏は「脳の処理速度の訓練は、期間10年における認知症リスクにおいて、対照群との比較で平均29%の低減につながった」と述べた。

 戦略的記憶力や論理的思考の訓練を受けた2グループについては、認知症リスクに有意な差は認められなかった。

 研究結果は米アルツハイマー病協会(Alzheimer's Association)の査読学術誌「アルツハイマー病と認知症(Alzheimer's & Dementia)」に掲載されている。

 これらの脳トレプログラムをめぐっては、これまでの多くの研究でメリットがほとんどない、あるいは全くないと指摘されている。そのため、研究に参加していない一部の専門家らは、今回の研究結果を「認知症の特効薬」とする解釈に懐疑的だ。

 英ロンドン大学ユニバーシティー・カレッジ(UCL)のロブ・ハワード(Rob Howard)教授(老年期精神医学)は「ここで報告されている結果は、わずか数時間の認知訓練を経て10年後の認知症リスクが減少した可能性があるとするもので、少々意外であり、注意深く受け止めるべきだ」と述べている。(c)AFP/Kerry SHERIDAN