【11月12日 CNS】「映画『功守道』の製作はジャック・マー先生が6年前、僕に与えたミッションがきっかけです。マー先生が設けた期限は7年でしたが、僕は思ったより飲み込みが早かったのかもしれません、6年で完了しましたから」。中国のアクション俳優、ジェット・リー(Jet Li)さんがインタビューに対し語った。映画は、アリババ(Alibaba)のジャック・マー(Jack Ma)会長の映画初出演作で、リーさんがプロデュースした。近く中国で公開される予定。

 「太極文化を世界に広めることが夢だ。リーさんが太極拳の創始者、楊露禅(Yang Luchan)を演じる映画を作りたい」。マー会長は2011年、リーさんにこう話したという。

 当時、多くの企業がゲスト出演に名乗りを上げ、自動車メーカーの吉利汽車(Geely Automobile)の李書福(Li Shufu)氏が街角で人力車を引く車夫をやると言い、オンラインゲームの大手巨人網絡(Giant Interactive Group)の史玉柱(Shi Yuzhu)氏は占い師、飲料メーカー中国匯源果汁集団(China Huiyuan Juice Group)の朱新礼(Zhu Xinli)氏は果物売り、百貨店チェーンの銀泰商業(Intime Retail(Group))の沈国軍 (Shen Guojun)氏は貴族、不動産大手の万科集団(ChinaVanke)の王石(Wang Shi)氏と大連万達集団(Wanda Group)の王健林(Wang Jianlin)氏は大工をやりたいと言った。 

 その映画は結局制作されることはなかったが、この頃から徐々にマー会長には太極文化を広めたいという思いが具体化していったという。リーさんによると、マー会長がリーさんに伝えた「原則」は三つ。「1点目は公益の心をもって、企業を運営すること。2点目は最初の3年は儲からない。3点目は不動産には関わるな」

 マー会長は10月28日、自身のウェイボー(Weibo)で映画『功守道』のポスターの写真に、「あの夜、あの夢」という6文字を添えて発言した。 「あの夜」つまり6年前の夜、リーさんに語った「あの夢」が実現したことを指しているようだ。

 マー会長は以前にもウェイボーで、哲学としての太極拳と武術としての太極拳について、明確な考えを明らかにしていた。海外を訪問すると、アリババの成功は太極哲学を応用したおかげだと常々話している。

 一体なぜ、この古い太極哲学と文化思想を世界に広めるべきなのか。マー会長の交流を通じてこのような考えに影響され、リーさんも徐々に悟っていったという。

 「太極文化には『舍(訳:捨てる)』という概念が存在する。捨てなければ何も得られない。なぜなら、君の抱えているものが重すぎるから。マー先生はいつも、私にこう言っていました」

『功守道』という題名は、マー会長のアドバイスだという。当初は「攻守道」だったが、リーさんがある時、「攻」という字を「功」と書き間違えた。すると、マー会長が「功」の字の方が農耕文明に育まれた中国人の哲学には合っていると話したという。

 太極文化は奥が深い。長い時間をかけてじっくりと理解するものだ。リーさんは、「『功守道』は太極文化を一般の人たちが受け入れやすいように、わかりやすく作っています。伝わればうれしい」と話した。(c)CNS/JCM/AFPBB News