■パートナーを見つけるか保護区への移動か

 密猟や森林破壊、野生動物保護のための金銭的支援の必要性を目の当たりにしているアフリカの霊長類学者にとって、ポンソの救済は模範的な例となっている。

 アフリカ霊長類学会(African Primatological SocietyAPS)およびコートジボワールのスイス科学研究センター(CSRS)代表のインザ・コーン(Inza Kone)氏は、「科学的、あるいは道徳的見地から考えても、ポンソをできるだけ早く孤立状態から救わなければならない。そのためには、彼の元にパートナーを連れてくるか、彼をどこかに連れて行くかの2つの方法がある」と語った。

 しかし、過去20年の間にこの島で起きたチンパンジーの不審死や行方不明となった個体の行方などについては明確な説明が提供されておらず、専門家らはポンソのパートナーを見つけることに慎重な姿勢を崩さない。

 多くの人は、チンパンジー保護区の設置が最も実現可能な解決方法だと考えているが、ポンソを別の場所に移すことについて一部の学者らは反対の意見を表明している。この森で最後の霊長類を守ることができなかったと認めることになるからだ。彼らはあくまで、さらなる保護やパートナーの提供を強く求めているのだ。

 コーン氏は、保護区の設置で「生息環境はおのずと整う。仲間たちと接触することも可能だ」と述べる。また「ポンソは、コートジボワールに保護区を設置する取り組みの旗振り役」で「手遅れになる前に設置の努力が実るよう願わなければならない」ともコメントした。

 アフリカの霊長類学者らは、このプロジェクトに協力する用意が既に整っている。しかし、それは政治的な意思が伴って初めて実現するもので、これまでその支援を十分に得ることができていないというのが現状なのだという。(c)AFP/Christophe KOFFI