【1月2日 AFP】孤児になったり、親に置き去りにされたり、いじめられたりして野生で生き延びるすべをなくした若いヒグマたちのための「新しい家」が、クロアチア中部の風光明媚(めいび)な村にある。

「母親を失うなどして1匹では大自然の中でどうにもならなくなったクマの赤ちゃんたちに、避難先をつくるのが目的だった」と、クテレボ(Kuterevo)村のヒグマ保護施設を2002年に立ち上げたイバン・ツルンコビッチパベルカ(Ivan Crnkovic-Pavenka)さん(71)は話す。

 欧州南東部に生息するヒグマは約1000頭。中でも、森林が広がるクロアチアのゴランスカ郡(Gorski Kotar)とリカ(Lika)に多い。だが、クロアチアではヒグマの保護区域内でも、毎年100頭ほどのヒグマを狩ることが認められている。

 ツルンコビッチパベルカさんは、人々が野生の赤ちゃんヒグマを見つけて連れ帰ることは問題だと考えている。「ビロードのような毛並みの小さな生きもの」をかわいがっているうちはいいが、かみついたり引っかいたりするようになったら殺さなければならなくなるからだ。

 そのため、保護施設にいるクマにはすべて不妊手術を施し、電気柵に囲まれた2.5ヘクタールの屋外スペースをクマの年齢別に三つに区切って解放している。現在、この施設では15頭を保護しており、このうち何頭かは最終的に野生に戻す予定だという。(c)AFP/Lajla VESELICA