【11月1日 AFP】ペルーの首都リマで先週末に行われたミス・ペルーを決めるコンテストで、ステージに上がった女性らが同国における女性への暴力に対して次々と抗議し、通常の華やかなイベントを一変させた。ペルーは、女性にとって中南米で最も危険な国の一つとなっている。

 最終選考に残った女性ら23人は、エレガントなイブニングドレス姿でステージに登場し、嫌がらせや性的および身体的虐待、さらに殺人などの犠牲者である同国の女性ら数千人に代わって声を上げた。当日のコンテストはテレビ放送されていた。

 出場者らは、いわゆるスリーサイズを明らかにする代わりに、同国での女性に対する暴力について、衝撃的な事実を次々と語っていった。

「私はリマ代表のカミラ・カニコバ(Camila Canicoba)です。私のサイズは…過去9年間に報じられた女性が犠牲となった殺人2200件」

 その他の出場者らも、これに続いた。

「若い女性を襲った81%は家族などの近親者」

「性的搾取のために、10分に1人の割合で女性が死んでいる」

「ペルーの70%以上の女性が街頭での嫌がらせの犠牲者となっている」

 出場者たちが語った内容は、いつも通りの娯楽を期待していた視聴者たちに衝撃を与えた。

 ペルーでは今年、82人の女性が殺害され、156件の殺人未遂があった。最終選考に残ったカレン・クエト(Karen Cueto)さんが壇上で述べた。

 これらの数字は、中南米地域でペルーがボリビアに次いで女性への暴力が最悪の国であることを浮き彫りにしている。

 1987年のミス・ペルーでコンテスト主催者ジェシカ・ニュートン(Jessica Newton)さんはAFPの取材に、出場女性らも例外ではないと述べ、コンテスト開始時の参加者150人のうち、5人がレイプを含む暴力の犠牲者だったことを明らかにした。

 国勢調査のボランティア女性に対するレイプ事件をきっかけに、ペルーでは、女性に対する暴力が新聞のトップ記事に取り上げられるようになった。そして、女性テレビ記者2人がパートナーから暴力を受けたことを公にしてからは、殴打や刺傷、未成年へのレイプなど、女性を狙った事件の報道が連日のように続いている。

 コンテストの主催者からの質疑応答も、普段とは全く様相を異にしていた。好きな趣味や慈善活動についての質問の代わりに、「もしあなたが法律を変えることができるとしたら、女性殺害行為への正当な罰は何だと思いますか」といった暴力行為への対応などについて出場者らは尋ねられた。

 ロレト(Loreto)代表の女性は、レイプ実行犯には終身刑を、と答えた。大会でミスに選ばれたカヤオ(Callao)代表のロミナ・ロサノ(Romina Lozano)さんは、あらゆる暴力の攻撃者に対し、氏名を含んだデータベースを用意することだと述べ、「そうすることで、私たちは自分を守ることができる」と話した。(c)AFP/Carlos MANDUJANO / Moises AVILA