【10月31日 AFP】中国の全国人民代表大会(全人代、国会に相当)は今週、国歌法の改正審議を行っている。改正法案が可決された場合、国歌に対する侮辱行為に最高で3年の禁錮刑が科される他、香港やマカオにも適用される可能性があるという。国営メディアが31日、明らかにした。

 同国では先月、国歌法が成立。中国国歌「義勇軍行進曲(March of the Volunteers)」をパーティーや冠婚葬祭の場で大声で歌うことが禁じられた他、国歌を侮辱する行為には15日以内の拘留が科されることも決まった。

 全人代はこの法律を改正して、国歌の正しい歌い方や場所を細かく規定しようとしている。

 国営新華社(Xinhua)は、今回の改正案が可決されれば「罰則の範囲は政治的権利の剥奪や監視、刑事法に基づく勾留や最高3年の禁錮刑にまで及ぶ」と報じている。ただここまでの厳罰化の理由については説明していない。

 この改正法が香港にも適用されれば、「一国二制度」に基づき、本土とは異なる権利や自由が認められ、高度な自治が保障されている同特別行政区から強い反発が生じかねない。

 新華社は全人代常務委員会法制工作委員会の張栄順(Zhang Rongshun)副主任の話として、「近年、国歌を侮辱する行為が香港でも起こっている。『一国二制度』の原則や社会道徳の根幹を揺るがし、国民の間に怒りを招いている」と伝えた。

 その上で張氏は、「そのような違法行為の予防や対処のため、香港にも国歌法を適用することが急務かつ重要」だと述べたという。

 香港で今月開かれたサッカーの対マレーシア戦で、あらかじめ当局が自制を呼び掛けていたにもかかわらず、一部のサポーターらが国歌演奏時にブーイングや背中を向ける行為に及んでいた。(c)AFP/Joanna CHIU