【11月1日 AFP】イスラム系少数民族ロヒンギャ(Rohingya)の生後8か月のその男の子がバングラデシュにある難民キャンプ内の野戦病院に着いた時、命の火は今にも消えそうだった。肺炎を起こし、呼吸をするのも困難な状態だった。

 だが、彼は助かった。南東部コックスバザール(Cox's Bazar)に新設された赤十字(Red Cross)の野戦病院の医師たちに救われたのだ。この病院は、ミャンマーとの国境沿いに広がるすし詰め状態の難民キャンプにある医療施設としては最大規模だ。

 その男の子、モハマド・ハレスちゃんは、8月末以降にミャンマーでの民族抗争から逃れてバングラデシュへ渡った60万人以上のロヒンギャ難民の一人だ。

 到着した難民の多くが病気を抱え、飢え、銃や地雷による傷を負っており、国境付近のキャンプにある医療施設の窮状に拍車をかけている。

 赤十字の野戦病院の医師たちは日に200人にも上る患者を診察している。陸路や海路でバングラデシュに流入し続けるロヒンギャの多くは、一刻も早く治療が必要な状況だ。

 過密状態のキャンプには、病気がまん延する危険が忍び寄っている。何十万人もの難民が適切なトイレのない簡易的な小屋に押し込められるようにして暮らしているからだ。

 医師たちは、コレラなど汚染された水を媒介とする病気が広がることを懸念している。すでに子どもを中心に何千人もの患者が激しい下痢に襲われている。

 野戦病院の医師によると、丘の斜面に竹やビニール製の小屋が立ち並ぶ、救援施設から離れた場所にも今後は移動診療チームを派遣する計画だという。(c)AFP/Shafiqul ALAM