【10月24日 AFP】米大リーグ(MLB)、ロサンゼルス・ドジャース(Los Angeles Dodgers)のデーブ・ロバーツ(Dave Roberts)監督とヒューストン・アストロズ(Houston Astros)のA.J.ヒンチ(A.J.Hinch)監督は、24日に開幕するワールドシリーズの大一番に向けて準備を整えるなか、親しい友人の間柄を封印している。

 45歳のロバーツ監督と43歳のヒンチ監督は、ともに米カリフォルニア(California)州の大学で学んでおり、前者がカリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)で歴史を専攻し、後者がスタンフォード大学(Stanford University)で心理学の学位を取得した。

 2010年から2014年までの数年間にわたり、サンディエゴ・パドレス(San Diego Padres)のスタッフとして交流を深めた二人は、違うチームに分かれたものの、ロバーツ監督が2015年に加入したドジャースをリーグ屈指の強豪に押し上げると、ヒンチ監督も同年から指揮を執っているアストロズを奇跡的によみがえらせた。

 ヒンチ監督はシリーズ開幕を控えた23日、これまで友情を育んできた二人が今季のワールドシリーズで激突することについて「信じられない」と認めており、「珍しい話だ。独自の経歴を持つわれわれが、ワールドシリーズの舞台で対戦することになるなんて、何が起きても不思議じゃないことを示している」と述べた。

 低迷期が続いていたアストロズの指揮官として、就任1年目からチームをプレーオフに導いた実績を持つヒンチ監督は、お互いに2017年のレギュラーシーズンで100勝以上を記録した際に喜びを分かち合ったと明かした。

■「最も憎き敵同士」

「そうだね、今週からは友人同士ではなく、最も憎き敵同士になる」と冗談を交えながら話したヒンチ監督は、「われわれは何年も前からお互いのことを良く知っているし、家族ぐるみのつき合いだ」と語った。

「7月に一緒に朝食を取ったとき、10月にはワールドシリーズで対戦できるように励まし合った。今は目標に向かって慎重に行動しなければならない。お互いのチームと対戦することになるからね。彼は心から好意を持てる人間だ。指導者はこうあるべきだという素晴らしい模範だよ」

 ロバーツ監督も、パドレス時代にヒンチ監督とすぐに打ち解けたと明かしており、「彼はフロントの一員で、私はスカウト責任者を担当していた。私がコーチになると、われわれはすぐに意気投合したんだ。同年代だったから友人関係になり、試合について語り合うことがとにかく楽しかった」と述べた。

「それを考えると、今こうして指揮官として彼と対決することになったのは、本当に信じられない気持ちだ。うちのチームがワールドシリーズ進出を決めたあとだったと思うが、彼が私に連絡してきたんだ。そして、アストロズがリーグ優勝をしたあと、私から彼に連絡したよ。それ以降は連絡を断ち切っている」

 一方、ヒンチ監督は、ロバーツ監督の勝利を追い求めるための厳しい決断力と選手の心に響くメッセージを探す能力に刺激を受けていたとして、「指導者としてのデーブは、選手との関係を築いてそれを勝負に生かす能力に長けている」と述べた。

「彼は勝利への意志を持っている。誰にでも優しすぎて誤解されてしまうこともあるかもしれないが、勝負となれば心の底から闘志を燃やしてくる。一緒にいたころ、それを目の当たりにするのが本当に楽しかった。今週はその姿を直接みることができると確信している」

 ヒンチ監督はまた、2011年にホジキンリンパ腫を克服するという「信じられないような道をたどってきた」ロバーツ監督について、「彼が野球界で最も優れたチームの一つに上り詰めたことは間違いない。彼に最大の敬意を払っている」と語った。(c)AFP/Rob Woollard