■バナナやトウモロコシの栽培もしたが…

 地元政府は、コカ栽培をやめて合法的な作物に植え替える農民たちに助成金を出している。だが、それを拒否する農民たちはしばしば取り締まりの対象となり、時に警察と衝突する。今年7月にもイニリダ川の川岸で警察と農民との衝突が起き、警察官1人が3日間拘束された。

 早朝、ジャングルの中にあるミゲルさん(56)の農場の掘っ立て小屋では、摘み取られたばかりのコカの葉が集められ着々と加工の準備が進められていた。機械で細かくしたコカの葉に水とライムをまぜた液体を加え、その後、セメント、ガソリン、肥料、酸などを使用する長い加工作業が始まる。ここで作られるコカインペーストのコカイン濃度は35%程度だという。

 ミゲルさんは、「バナナやトウモロコシ、キャッサバの栽培もしたことがあるが、それではもうからない」と語る。バナナを市場まで持って行くには運搬コストがかかり、結局は損になるからやめたのだというのだ。そして「コカ1キロならば、ポケットに入れて行けるからね」と付け加えた。 (c)AFP/Hector Velasco