■巨大小惑星はいつか地球に、でも避難以外に手立てなし

 TC4はその際に750分の1の確率で地球に衝突する恐れがあるとして、ごくわずかな衝突リスクをもたらす天体の「危険度リスト」の13番目に記載されている。

「2050年の再接近をより的確に予測するには、極めて正確な観測を行う必要がある」と、ジェン氏は主張する。

 この程度の接近通過は、実際には極めて多く発生しており、TC4と同等サイズの天体は毎年約3個、同程度の距離まで地球に接近通過している。

 TC4が特別なのは、世界各地の天文台、大学、研究所のネットワークから情報提供を受けている地球規模の小惑星警告システムをテストする対象に選ばれたことだ。

 TC4が近距離まで接近することで、研究チームは小惑星の軌道と大きさをどのくらいの精度で予測できたかを評価できると同時に、小惑星の組成をより詳細に知るための観測を各地の望遠鏡を用いて行うことができる。

 ジェン氏と同じチームのデトレフ・コシュニー(Detlef Koschny)氏は、「私たちにとって今回はテストケースだ」として、本当に重大なケースに向けた訓練を行っているところだと説明した。

 恐竜を絶滅させた大きさの小惑星がいつか再び地球に衝突することはあり得ると多くの科学者は考えているが、それがいつ起きるかは誰も分からない。また、小惑星衝突の予測精度が向上したとしても、対処できる手段は今のところ、ほぼないに等しい。

 接近する隕石を破壊するか、その進路をそらすことを目的として議論された未来的な計画はこれまでのところ行き詰まっており、唯一の対策は危険が及ぶ地域の人々を避難させることだとされている。(c)AFP/Mariëtte Le Roux