【10月10日 AFP】男子テニスのニック・キリオス(Nick Kyrgios、オーストラリア)が9日、がんで亡くなった少年の死に心を痛めた経験から、自身はついに人生の目的を見いだしたとした上で、今後恵まれない子どもたちのために施設を建設する予定があることを明らかにした。

 その才能は高く評価されながらも、同時に興奮しやすい性格として知られる22歳のキリオスは、ラファエル・ナダル(Rafael Nadal、スペイン)に敗れた8日の中国オープン(China Open 2017)決勝でも感情的になる場面があったなど、これまでも試合中に集中を欠いたり、審判やファンと口論をしたりする場面がよく見られた。

 テニスに真剣に取り組んでいないと率直に認めることもあったキリオスはこの日、現在に至るまでの葛藤の理由は人生において本当の目的がないと感じていたからだと打ち明けながらも「私もここ数か月で自分なりの目的を発見したと思う」と述べ、恵まれない子どもたちのための施設を建設する計画を公表した。

 アスリートが自らの意見などをつづるウェブサイトwww.playersvoice.com.auに寄稿した世界21位のキリオスは、数年前から恵まれない子どもたちが「遊んだり、自分が家族の一員だと感じたりできる安全な場所」をつくる構想を温めていたとし、その夢は今年の全豪オープンテニス(Australian Open Tennis Tournament 2017)で末期の脳腫瘍を抱える少年と面会したのを機に強くなったと述べた。

「テニスは素晴らしい人生だ。私たち選手には高額な金が支払われ、待遇だって非常に良い。だが金のためだけにやっているのであれば、同時にむなしく感じられることだってある。でも今はそうしたすべてが何のためのものなのか、私にはわかる。今の私は、彼らのためにプレーしている」

 子どもたちが寝食できる施設には、テニスコートやバスケットコート、ジムに加え、サッカーグラウンドなども完備される予定という今回の計画は、来年1月に開催される全豪オープンまでに本格的に着手されるという。(c)AFP