【10月4日 AFP】フランス国民議会(下院)は3日、新たなテロ対策法案を圧倒的多数で可決した。2年近く続く非常事態宣言に基づき実施され、論争の的となってきた一部の措置を恒久化する内容だ。

 同法により当局には、判事の事前承認を受けることなく、イスラム過激派の同調者と疑われる者らの移動を居住地のみに制限する、テロを黙認しているとされる礼拝所を閉鎖する、即時身元確認の実施件数を増やすといった権限が付与される。

 同法は市民的自由の侵害に当たると懸念する声も上がっているが、イスラム過激派による一連の襲撃事件の頻発に恐怖する世論からの反発はほぼ皆無だった。同法案は下院での1回目の採択で、賛成451票、反対127票、棄権19票で可決された。

 2015年に首都パリ(Paris)で発生した攻撃後に出された非常事態宣言は、これまでに6回延長されたが、来月1日に期限を迎える。同法はその前に成立する見通し。

 2012年以降、フランスではテロ対策関連の法整備が強化されており、約10件の新法が成立している。

 国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウオッチ(HRW)フランス支部のベネディクト・ジャヌロ(Benedicte Jeannerod)代表は、「行政に権力を集中させ、司法の監督を弱めるのはわが国のテロ対策で今に始まったことではない」としながらも、「非常時の特権を常態化させるというのは、一線を越えるものだ」と指摘している。(c)AFP/Gina DOGGETT/Clare BYRNE