【10月2日 AFP】米ネバダ(Nevada)州ラスベガス(Las Vegas)で起きた銃乱射事件で、高級ホテルに大量の銃器をひそかに持ち込み、32階の部屋の窓から音楽祭の参加者らに向けて銃を乱射した元会計士のスティーブン・クレイグ・パドック(Stephen Craig Paddock)容疑者(64)は、ギャンブルに高額をつぎ込む賭博愛好家で、その父親はかつて連邦捜査局(FBI)の最重要指名手配犯とされた銀行強盗だった。

 パドック容疑者は賭博都市ラスベガスの東130キロに位置するネバダ州メスキート(Mesquite)にある定年退職者向けの閑静なゴルフコース付き住宅街に一軒家を所有していた。弟のエリック(Eric Paddock)さんによると、大量殺人の実行を計画しているような素振りは見せていなかったという。

 58人の死者と500人以上の負傷者を出し、米国史上最悪の銃乱射事件となった同事件については、イスラム過激派組織「イスラム国(IS)」が犯行声明を出し、パドック容疑者はISの「兵士」で、最近イスラム教に改宗していたと主張。だが米連邦捜査局(FBI)は、事件と国際テロ組織との関連を示す情報は今のところないとしている。

 パドック容疑者はラスベガスでも特に有名な建物の一つであるホテル「マンダレイ・ベイ(Mandalay Bay )」の一室の窓をハンマーで割って銃撃に及んだとみられ、特別機動隊(SWAT)が室内に突入した際に遺体で発見された。死因は銃による自殺とみられている。

 エリックさんは米メディアに対し、家族はショックを受けており、何が兄を犯行に駆り立てたのかは分からないと説明。CBSニュース(CBS News)のインタビューでは「兄は自動小銃を一体どうやって手に入れたのか。従軍歴などもないのに」といぶかしんだ。

 また地元紙ラスベガス・レビュー・ジャーナル(Las Vegas Review-Journal)の取材に対しては、「一家の上に小惑星が落ちてきたようなもの」と表現し、「これがどうやって起きたのか、見当もつかない」と述べた。