■美食トレンドを超えた可能性

 レストランの共同創業者でカナダ人のレーガン・スズキ・パイロマハキ(Regan Suzuki Pairojmahakij)氏は、単なる美食トレンドを超え、人口が増え続け肉食に偏る世界にとっての万能薬となり得るのが虫だと語る。

 かつて辺地の集落を支援する非政府組織(NGO)で働いていたというパイロマハキ氏は、「気候変動と天然資源管理の分野に長年携わってきました。仕事の大部分は、持続可能なタンパク源、食料、供給チェーンを探すことでした」と話し、関わった地域の多くで虫が料理に採り入れられていたと明かした。

 厨房(ちゅうぼう)に立つティティワット・タントラガーン(Thitiwat Tantragarn)シェフは、最も大事なのは風味をうまく生かすことだと考えている。「タガメの身はカニに似た食感。だからラビオリに使っている」と熱っぽく語った。

 アリの卵もシェフが気に入っている食材の一つだ。「酸味があり、魚臭さを消す効果がある」として、魚に添えることが多いという。

「バランスと調和が取れたメニューを心掛けている」というティティワット氏はこう話している。「お客様の見方を変えるのが私の狙い。虫は食べられるしおいしい。気持ち悪いものではないんです」 (c)AFP/Sippachai KUNNUWONG and Delphine THOUVENOT