■観客は総立ち

 世界選手権で若い世代と競い合ったブルスコさんとチュドバさんはメダルを獲得することはなかったが、2人がステージに登場すると観客は総立ちになった。

 決勝に進んだフアン・マヌエル・ロザレス(Juan Manuel Rosales)さんと妻のリーザ(Liza)さんは、ステージに出る前に舞台裏で2人にあいさつをした。フアンさんは言う。「2人を見ていると、彼らがタンゴの一部であることが分かるんです。タンゴの真の全盛時代、国全体がタンゴを踊っていた1940年代を生きてきたのですからね」

 その近くでは、スーツに身を包んだ若い男性ダンサーたちが髪にジェルを塗り、往年のスターのような見事な口ひげを誇示していた。

「伝統は受け継がれています」とリーザさんは言った。「タンゴの本質が失われないように私たちが守っていきますよ」 (c)AFP/Sonia AVALOS