【9月28日 東方新報】近年、中国国民の間で不評だった俳優の「破格の」報酬問題に、終止符が打たれた。中国ラジオ映画テレビ社会組織連合会(China Alliance of Radio Film and Television)など4機構は22日、映画やドラマで俳優らの総出演料は総制作費の40%を超えてはならず、このうち、主要キャストの出演料は70%以内に留めなければならない、などと表明した。同日発表した、「テレビドラマ、ネットドラマ制作コスト構成割合に関する意見」で明らかにしている。

 俳優の破格な主演料を巡っては近年、論争が繰り広げられていた。中国中央電視台(CCTV)のニュースチャンネルは「役者の破格のギャラ」という特別番組で、テレビ時代劇『如懿伝』の主演俳優のウォレス・フォ(Wallace Huo、霍建華)とジョウ・シュン(Zhou Xun、周迅)2人で1.5億元(約25億円)の出演料が支払われたと名指しで批判した。ほかにも、人気女優のヴィッキー・チャオ(Vicki Zhao、趙薇)は連続テレビドラマ『虎媽猫爸(虎ママ猫パパ)』で4280万元(約7億1470万円)、有名女優のスン・リー(Sun Li、孫儷)は放送中の連続テレビドラマ『那年花开月正圆(訳:あの年、花が咲き、月は丸かった、Nothing Gold Can Stay)』で出演料を6000万元(約10億円)を得たことが分かった。

 「意見」では、「少数の俳優が破格な報酬を得ている状況は、テレビドラマ制作の高コスト構造を作り、アンバランスな所得分配はテレビドラマ全体の品質向上に悪影響を及ぼしている」と指摘している。

 また、俳優全員の総演出料が総制作費の40%を超えた場合、制作側は所属の協会(中国ラジオ映画テレビ社会組織連合会など)に対し、説明を行うよう求めている。

 中国国家新聞出版広電総局は2016年、俳優が破格な報酬を得ている状況をふまえ、業界団体や大手映画会社に自粛を求めたことがある。

 今回の「意見」は、メディアや国民から多大な支持と喝采を博している。インターネットユーザーからは、「多額のお金をスターに使うよりは、ドラマ制作にもっとお金をかけて、良心的な良いドラマ作りに期待したい!」など多くの好意的なコメントが出ている。

 俳優の破格な報酬額について、これまで批判的な発言をしてきた有名脚本家の汪海林(Wang Hailin)氏は24日、CNSの取材に対し、「マネージャーやプロデューサーは破格なギャラ問題に責任を持つべきだ。世界的なスターは高い報酬を受け取ることがあるが、中国の俳優の出演料はその中でも仰天するほどに高く、きわめて異常なことだ」と述べた。

 俳優の出演料が高すぎると、撮影に使える経費の割合が圧迫され、映画やテレビドラマの作品の品質や完成度に悪影響を与える。また、スターたちが互いに張合うなどの状況を誘発しがちで、その結果、適役の俳優ではなく、単なるスターに過度に依存する結果になってしまう。

 「意見」が発表された22日、中国テレビ芸術家協会(China TelevisionArtist Association)の胡占凡(Hu Zhanfan)会長は、破格報酬の深刻な影響を受けた中国のドラマ制作の今後について、税務機関など関連する多くの部門が基準や規則を作成する必要があると語った。(c)東方新報/AFPBB News