■政党ポスターに「ブルカではなくビキニ」

 AfDは2013年に反EUを掲げて結党されたが、ドイツ史上最多の移民流入をめぐり人々の不安が高まるにつれ、その受け皿となるべく次第に焦点を移していった。

 選挙戦の終盤、主張の内容はさらに過激さを増し、主要候補2人のうちの1人は、ドイツは元軍人に誇りを持つべきであり、テロはイスラム教に基づくものだなどと発言した。

 またAfDの政党ポスターには「ブルカ(イスラム教徒の女性が着用するベール)? われわれはビキニの方が好きだ」といったキャッチコピーや、白人の妊婦の写真とともに「新ドイツ人? それはわれわれの子どもだけにしよう」といった挑発的な言葉が並んだ。

 AfDのポピュリストたちが支持を集める背景には、広がり続ける社会的格差が一因となっているとの指摘もある。とりわけ脱工業化が進む旧東ドイツ中心部では、そうした傾向が高い。今回の選挙でドイツ東部では、AfDは投票総数の4分の1近くを獲得し、第2党となっている。

 メルケル首相率いるキリスト教民主同盟(CDU)と連立政権を組む社会民主党(SPD)の前党首であるジグマル・ガブリエル(Sigmar Gabriel)外相は、「第2次世界大戦以降初めて、本物のナチスが独議会に参加することになる」と警戒感をあらわにしている。

 全ての主流政党が連携を拒否しているため、AfDは議会で孤立するだろうが、このポピュリストたちが野党席から混乱を生じさせる可能性は依然として残されている。(c)AFP/Hui Min NEO