【9月23日 AFP】キューバのブルノ・ロドリゲス・パリジャ(Bruno Rodriguez Parrilla)外相は22日、国連総会(UN General Assembly)で演説し、キューバの首都ハバナ(Havana)で米国の外交官らが健康を害する「音響攻撃」を受けたとする米側の主張を裏付ける証拠は見つかっていないと述べた。

 昨年から今年8月までに、ハバナ駐在の米外交官少なくとも21人と、カナダの複数の外交官らが脳の損傷や難聴の被害に見舞われたと訴え、レックス・ティラーソン(Rex Tillerson)米国務長官は「健康攻撃」と表現していた。

 米当局は当初、大使館員らは謎の「音響装置」による被害を受けたとみられるとしていたが、現在も調査を続けており、国務省は詳細を明らかにしていない。

 ロドリゲス外相は国連総会で、この件についてキューバ当局は独自に調査を行い、米大使館から提供された証拠を吟味したと述べた。

 同外相は「これまでのキューバ当局の調査では、米国の外交官とその家族らが訴えた健康障害の原因を裏付けるような証拠は一切見つかっていない」として、「問題を解明する調査は続行する。結論にたどり着くには米当局との協力がカギとなる」「この手の問題が政治利用されるとすれば遺憾である」と述べた。

 ティラーソン国務長官は今月17日、在キューバ米大使館の閉鎖も選択肢の一つとして検討していることを明らかにした。

 米政府は、キューバ当局が事件に関与しているとは主張していないものの、キューバ政府には同国に駐在している他国の外交官らの安全を守る責任があると再三訴え、今年5月には米国に駐在していたキューバの外交官2人を国外追放処分にしている。(c)AFP